スポーツ外傷について
9月はスポーツ外傷についてブログをUPしました。是非参考にしてみてください。
スポーツのケガ④筋肉系のトラブル 回避法を探してみる。
スポーツ障害で非常に多い症例は「筋肉系のトラブル」かもしれません。
スポーツによってケガをするパターンを幾つか上げます。
●オーバーユース(overuse)
使い過ぎ、という意味。
同じ動作を頻回に続ける事でケガに繋がってしまう。
●ミスユース(misuse)
間違えた使い方、という意味。
負荷の掛かり過ぎるフォーム、無理な使い方で練習を続けることでケガに繋がってしまう。
●ディスユース(disuse)
急に身体を動かす時に起こるケガ。
寒い時や、あまり身体を動かさずにスポーツをしてケガをしてしまう。
これらは指導者や周りの環境がかなり影響してしまいます。
以前担当した患者様の一例です。
毎年全国大会に必ず出る様なバスケット部の女性選手。⛹️♀️
寮住まいの為、帰省した際に診せてもらった時に驚きました。
脚の両脛(りょうすね)が軽く触れるだけで激痛が出る状態、慢性的な骨膜炎=シンスプリントを患っています。
骨膜炎、めちゃくちゃ痛いです。
骨折した人なら分かりますが、痛みのレベルが非常に高い。
僕は昔、サッカーの試合で転倒→突き指した時に普段の痛みと明らかに違う痛みだった。
痛過ぎてうずくまっていた(ケガをしたのは指なのに!)記憶がある。
後日エコーで確認した際には「骨折線」があり症病は当然骨折になります。
そんな痛みのレベルが慢性的に両足に対してある…本当に辛かったと思います。
けれどそこは強豪校、休むとレギュラーを外されてしまうから黙ってプレーを続けている為に症状は悪化の一途を辿ってしまう。
この女子選手に置き換えると
オーバーユース
・練習量の多さ、休養の不十分等
・競技から走り込み、ジャンプ動作の多さ
ミスユース
・足が痛いにも関わらず、休養出来ずに練習
・痛みを庇った為、筋肉の過度の負荷
ディスユース
・疲れが抜けない状態でのプレーをする事
足が痛いけど練習多い⇄休めない
このサイクルを延々と繰り返していました。
競技レベルであれば上手くなることは当然ですが、方法を間違えると様々な問題が起こります。
➀ケガを常時する・している為競技を辞めてしまう。
②競技自体が嫌いになってしまう。
③競技人口が減ってしまい、衰退する恐れがある。
一番の理想は筋肉系のトラブルが起きる前に解決できる方法、そんな可能性が幾つかあります。
◆機械を使った対策
カタパルト社のGPSを駆使したアイテム。
注)スポーツブラではありません。
これはGPSデータを使って一人一人のスピードや走行距離やスピードなどをデータ化。怪我の予防などのコンディショニングや練習強度のコントロールなどに役立てるアイテム。
以下の役割がある。
・距離や時間、速度に関する指標
・心拍数や身体への負荷に関する指標
・加速、減速、ジャンプなど3軸方向の加減速に関する指標
・ランニング時の身体の軸の傾きに関する指標
・ゲームに戻るまでの時間に関する指標
・ゴールキーパーが起き上がるまでの時間やダイブ強度に関する指標
実際に使用しているトップチームも数多くあります。
2019年、日本で行われたラグビーW杯の日本代表チーム
サッカー レスター時代の岡崎選手
サッカー ドルトムント時代の香川選手
このGPSシステムを使う事で、選手個人の習性が分かり練習量の調整が出来る為、未然にケガを予測する可能性を増やします。
◆筋肉系のケア
いわゆる体の「張り」です。
特にこの「張り」は原因を探すことは至難の業、この腕の見せ所がトレーナーや治療担当の役割です。
よく例えに出す例として腰の張りについて、様々なパターンを予測する必要があります。
・動きの解析→どの動きで張りが出るのか?
・動作時か?静止時か?
・オーバーユース?ミスユース?ディスユース?
・靴の問題は?足の問題はないのか?
・筋力の低下は?前後、左右差はあるのか?
これらのことを踏まえて、トレーニングや治療をする事が大切です。
◆栄養からのケア
筋肉系のトラブルで、意外な盲点となる「栄養面」
筋肉の回復させる食物がある一方、逆に身体を硬くしてしまう食べ物もあります。
・加工した糖質
・赤身の肉
・乳製品
これらのものを未然に摂取しない手段もあります。
サッカーの世界でスーパースターのクリスチアーノ・ロナウド。
ロナウドが好む食材は、魚、赤身のタンパク質料理、全粒穀物、サラダとのこと。 タンパク質は筋肉の構築と修復の両方を助け、年齢による劣化を遅らせるという。 またカロリーの燃焼にも役立つと言い、「私はココナッツオイルを使い、沢山の水やオイルを消費します」(ロナウドの調理担当者による)
殆どケガをしないロナウドはこんな所にも意識をしています。
当院の管理栄養士が作った資料です。参考にしてみて下さい。
もしかしたら他にも手法はあるかもしれませんが、筋肉系のトラブルは様々な問題を解決しないといけません。
僕は治療の専門家だから、痛みを軽減する役目の為アドバイスとしては「身体を休ませる」事を伝えています。
ただ休ませるとは、ケガの箇所を休ませるという意味。
他の使える、動かせる箇所は積極的に使わなければならない。
休ませる≠完全にOFF
この事を念頭に、スポーツ障害の筋肉系トラブルを様々な方向から解決出来る事を望んでいます。
スポーツのケガ③バレーボールで着地が両膝の痛いケースは動作分析で解決
「両膝が痛くて治らないから診て欲しい」
以前同じ症状で来てくれた学生が再度来院、試合も近いとの事で治療開始する。
患者様
・10代男性 (学生)
症状
・バレーボールのプレー中、ジャンプの着地で両膝の痛み
治療期間
・9月14日〜
治療回数
・2回(9月18日現在)
本人の主訴は「ジャンプの着地に痛くなる」。
成長期のジャンプの際に膝が痛い=ジャンパー膝?を疑いがちだけど、普通に屈伸運動は可能。
膝の以外の問題、他の可能性もある為、ジャンプをした際の着地動作を確認。
着地の際、幾つか使い方が悪い動作を発見。
①背骨が丸くなり骨盤の後傾が見られる
→背中が丸くなることで、骨盤は後傾位になる。骨盤の後傾は別名「腰が引ける」体位、重心が後方になる。
重心が後方になる事で脚の前方にある筋肉が張ってしまい、膝の前方に負担が掛かるようになる。
結果的に膝周囲痛に繋がってしまう。
②踵が浮く為、足をついた際に不安定な状態となる
→着地の際にかかとが浮いてしまう事は、ふくらはぎに衝撃が集中してしまう。
ふくらはぎと膝の前の大腿四頭筋は協力筋として作用は働く為、この動作も膝前方に負荷がかかってしまう。
③つま先と膝の距離が離れる為、膝に負担が掛かる
→膝とつま先の距離が離れることで、重心の関係が関わります。
重心(体幹もしくは中心、この場合はつま先)から距離が離れる程負荷が増える結果、膝に負担が掛かります。
ジャンプからの着地動作で様々な負担の要素が判明、①~③を改善しないと膝の痛みは変わりません。
以上の動作を改善する為に大切なポイントは「腰を落とす=骨盤の前傾ポジション」。
着地の際に腰を落とすイメージをすると自然と骨盤は前傾ポジションになります。
この前傾ポジションの1番メリットは力が出やすくなる事。
着地の様な衝撃に対して対抗します。
ちなみに、このポジション11番分かりやすいのは相撲。
力を出す為=衝撃に対抗するには、いかにして良い姿勢を作るのかが非常に大切なコツ。
アドバイスをしてからの着地はこちら
①背骨の丸みを作らない様、骨盤を前傾にする
②踵を浮かさない事が着地時の安定感となる
③つま先と膝の距離が近づく為、膝の負担が減る。
この着地法に変更→着地時の痛みはほとんど気にならないとの事。
二回目の来院の際は「バレーボール中の痛みが減った。」とコメント。?
つまり両膝の痛みは「膝自体の症状」でなく、使い方を直せば痛みが出にくい事が分かった症状。
膝の痛みが出てしばらくしてから来院した為、膝の周囲はばだ完全に回復は出来ていないが改善傾向が見られました。
身体の使い方は、訓練すれば難しくはないです。
トレーニング、スポーツ、仕事、作業など身体を動かす際に必要な「動作」。
もっと色々シェア出来る様にしますね?♂️
スポーツのケガ②首と背骨が痛いピッチャーは骨盤の可動性もチェックする。
久々に野球部の学生からメールが届く。
スポーツする学生は時間がない為、翌日に来てもらいすぐに治療開始。
患者様 10代男性
症状
・ボール投げた時に違和感を感じる
・首や背骨が痛い
治療期間
・1週間
治療回数
・2回
野球をやる=ボールを投げる際に必要なポイントは「下半身」と「上半身」が上手く連動して機能している事。
下半身と上半身の力の伝達を果たす箇所は骨盤を含めた背骨になります。
◆投球時の体重移動と背骨の動き
・ボールを投げる際、右脚→両脚→左脚の順に体重が乗る為の動きとなります
・骨盤と背骨は右投げの場合、左回旋の動きとなります。
①左の寛骨は後方に倒れて踏ん張る役割
②右の寛骨は前方に倒れて力を出す役割
③中央の仙骨は左回旋して背骨の回旋を促す役割
④背骨は各箇所により回旋角度は変わるが下から(腰椎→胸椎→頚椎)順に回旋する
①〜④までの関節の動きが正常に働く事で、余分に力を掛けずに投げる動作が可能となります。
◆下半身と上半身の動き方
・下半身の骨盤の動き方
例えば脚を上げる動きの時は骨盤は後傾
脚を後ろに出す時には骨盤は前傾
この際に脚と骨盤が連動して左右非対称の動き方が必要です。
・上半身について
理想的な動きは、上半身は赤線の様に脚→骨盤→背骨→胸郭の順に力が伝わり、腕に繋げる形。
今回のケースの様に骨盤の動きが制限されていると、骨盤から背骨に伝わる力が分散されて上半身に無駄な力が入る為に肩や首の痛みに繋がってしまいます。
ちなみに…
意外と腰を担当する腰椎は回旋角度は少ない?
(注)背骨の回旋は場所によって角度が違う
今回の学生の症状は、骨盤の仙骨周囲の筋肉や靭帯が過度の緊張があり、骨盤の動きを制限していました。
仙骨周囲の緊張がある時には、背中や腹部周りの抜けない張りや、背骨の回旋に対して制限を掛ける状態となります。
今回のケアでは骨盤周りの靭帯に対して集中してアプローチ、結果的に2回で済みました。
ボールを投げる動作は複雑な使い方になる為、下半身が上手に使えていないと上半身に負荷が掛かり肩の痛みに繋がります。
治療後メールで以下の返答?
肩や首の訴え→下半身から診る必要もあります。
早めに治療する事がケガ予防の1番大切な事、何かあった際には直ぐに対応していきましょう?♂️
スポーツのケガ①外側の足首捻挫→エコー→徒手両方で無事回復!
今回は最近来院された患者様の症状で、当院で非常に多く対応する症例「足関節」の捻挫について報告します。
・患者様
40代女性
・症状
バトミントン最中の足首のケガ
・主訴
歩行困難 踏み込めない
・治療期間 1ヶ月半(治療中)
プレー中に足首を捻ってしまい、歩行も困難な状態で来院される。
今回の痛め方は非常に多い「足首の外反捻挫」
?️は内側の骨が圧縮される
?️は外側の靭帯が伸ばされる
今回痛めた箇所
歩けないくらいのケガ(外傷)の場合、腫れや痛みが強い為判断出来ないケースが多いです。
幾つかの箇所の可能性がある為、触診+画像(エコー)にて判断します。
・今回負傷した可能性の高い箇所
①足首で1番多い前距腓靭帯の損傷。
②腓骨と踵を結ぶ踵腓靭帯
③距骨と踵骨を結ぶ距踵靭帯
④内側の距骨を支える載距突起周囲
幾つかの箇所の可能性がある為、触診+画像(エコー)にて判断します。
(正常な画像 Aの靭帯は問題無い状態)
(今回の画像 Bの靭帯は白く写る炎症が起きている状態)
炎症が起きている時は基本的に固定をします。しかしこの患者様は皮膚が弱く、テープ荒れが起きる可能性がある為にテーピングが出来ず、自分の持っているサポーターで固定してもらいました。
歩けないくらいの症状→靭帯がかなり傷んでいる可能性があり、更に痛みが中々減らない事が多いです。
今回は写真①の前距腓靭帯に対して、集中的にケア。
特に靭帯と骨の付着部、骨周囲には痛みの原因となる「靭帯の固着(弾力性の低下)」が残るケースあり。
今回負傷した靭帯の箇所
拡大した図 赤線のギザギザの箇所に感覚の情報を感じる組織(感覚受容器)が多量にある。
靭帯の弾力性が低下or消失する事で関節の感覚異常を引き起こします、その結果→捻挫の後遺症に繋がり痛みがずっと残るケースも多々みられます。
この箇所を治療して現在1ヶ月半近くでほぼ痛みが無い状態にまでなりました。
徐々にバトミントン?復帰してもらいます。