成長期の踵の痛みはシーバー病?症状を解説!
前回のオスグッド病に引き続き、成長期に踵が痛くなる症状は「シーバー(セーバー)病」と呼ばれています。
これは踵のアキレス腱付着部における骨端症と言った症状です。
◆アキレス腱周囲の構造
図① ふくらはぎの後方から見た図 ?️と?️の筋肉(腓腹筋 ヒラメ筋)がアキレス腱に移行して踵に付着する。
図② つま先立ちになると、アキレス腱が収縮する事で踵に牽引力が加わりこの箇所に負担が掛かる。
この症状は、アキレス腱が過度に牽引する事+成長期は骨がまだ完成していない為、骨膜の炎症もしくは骨自体の痛みとなる可能性あります。
図③ 踵の後方(骨端)は骨がまだ完全に引っ付いておらず、アキレス腱が過度に使われるとこの箇所を引っ張る事で骨の炎症が起きる。
また足裏?には足底筋膜という足を支える筋もあり。この箇所が硬く緊張する事でも負担が掛かりやすくなる。
図④足底筋膜の筋
図⑤
赤線はアキレス腱の牽引力
黄色線は足底筋膜の牽引力
緑枠は骨端部、離れてしまう!
お互いに筋緊張が強くなると中間地点の踵に負担が掛かる為、踵の痛みの原因となる。
◆どんな状態?
・踵に付着する軟部組織(筋肉や靭帯、滑液包)の障害
アキレス腱自体の損傷や、クッションとなる滑液包の炎症
・骨端軟骨の障害
腱が踵を引っ張る事で軟骨が剥がてしまう。
◆病歴、原因
オーバーユース(使い過ぎ)によるもの。
負荷が増えると朝の起床時に踵周囲の痛みあり。
歩行したりお風呂で温めたりすると徐々に良くなる。
トレーニング中は痛み少ないが、終了後に痛み出現多い。
◆治療法
①アキレス腱や足底筋膜のストレッチ
②骨盤や股関節等、下半身の機能回復
③テーピング・サポーター等装具着用
④足関節や距骨下関節の可動域改善
⑤アキレス腱を中心としたトレーニング
成長痛は安静にすれば痛みは改善します。
更に、症状に合わせた治療・トレーニングをする事で早期回復が期待出来ます。
安静+早期治療で成長痛から解放されましょう。
成長痛と骨膜の関係〜オスグッド病は膝の使い方で、痛みは軽減する。
前回報告した「成長痛」にも関わる骨膜。
骨膜とは、骨の表面に着く膜の名称です。
(断層図)
骨膜には関節を支える靭帯や滑膜も繋がります。
(縦の断層図)
赤ラインで骨膜に覆われています。軟骨には骨膜はありません
・骨膜神経→痛みを感じるなどの感覚神経
この骨膜が引っ張られる事で、痛みが出る成長痛。
ではなぜ成長痛が頻発するのか?
原因の一つは、身長が伸びる=骨は成長する→骨膜が伸ばされる状態が続く。
骨の痛みを感じやすい刺激は
圧縮<伸張
押されるより伸ばされる方が痛みを感じやすくなります。
身長が伸びる期間は、骨膜にもストレスが掛かり痛みが出やすくなる為、成長痛が出るものと考えられます。
成長痛の代名詞「オスグット病」。
膝の痛みとして有名な「オスグッド病」は膝の前側に痛みが出る症状。
(?この箇所が「脛骨粗面」といって大腿四頭筋が着く箇所。酷くなるとこのように骨を引っ張る作用が働き、骨を剥がしてしまう。)
オスグット病は以下の状態です。
膝の前側に痛みが出る→膝の前側を引っ張るから痛くなる→脛骨の骨膜が伸長される+骨端軟骨が牽引される為膝の痛みが出る。
例えば屈伸運動では、膝を曲げた時に脛(すね)を前に倒す事で膝に伸張性のストレスが掛かる為に痛みがでます。
・脛を前に倒す事で身体の重心から脚の距離が遠くなる事でてこの原理から、膝前に過度なストレスが加わってしまう。
・脛が前に倒れると、脛に付着する大腿四頭筋が伸張されて骨を引っ張る作用が働く。
しかし、動作を変えることで痛みはすぐに減ります。
それは脛を前に倒さない曲げ方です。
以前UPしたブログに詳細あり
→https://seiren-do.com/casestudy/sports/2020/11/29/骨盤の正しい位置は?⑤~ケガをしない為には骨/
オスグッド病を抱えた子供に共通している事は、身体が硬い=ストレッチをやると認識されていますが、身体の使い方が悪いから硬くなる、と考える必要もあります。
①大腿部(太もも)は踏ん張りを効かす箇所の為、陸上や野球、サッカー、バレー、バスケ等で負担が掛かる。
②膝の曲げ方や使い方が悪い、練習量が多い等で負担が蓄積される。
③筋肉の質が硬くなり、骨を引っ張る作用に耐えきれなくなって膝が痛い=オスグッド病となる。
次回は踵の痛み、シーバー病について報告します。
「成長痛」は早期の治療で改善します、大事なポイントは箇所と時期。
子供が足の骨の痛みを訴えるケース、いわゆる「成長痛」。
当院にも成長痛で悩んでいる小・中学生が来院されます。
子供の骨の痛みは成長痛=仕方がない痛み
この様に思っている方は非常に多くみえます。
成長痛と呼ばれる症状は、膝の痛みをオスグッド病、踵の痛みをシーバー病といった下半身の骨の痛みと言われています。
では膝や踵が痛くなった→成長痛と考える?
成長痛だから成長期が終わるまで我慢する?
答えは…違います。
どんなメカニズムか知ると治療で対応出来る為、今回は成長痛の治療について説明をします?(当院のオステオパシー治療の考え方です。)
例えばオスグッド病
これは大腿四頭筋をよく使うサッカー選手や膝を曲げるバレーボール、バスケットボール、テニスなど様々なスポーツで見られます。
年齢は10~15才が多いです。
筋の付着部(脛骨粗面)の骨膜が浮かびあがってしまう、更に膝蓋腱の炎症も見られます。
(強く緊張した大腿四頭筋が上方に牽引して、脛骨粗面という腱の付着部から骨膜を剥がそうとしてしまう。)
◯対処法
スポーツを止める
◯病院での薬
鎮痛剤、ノンステロイドの坑炎症剤
◯リハビリ
大腿四頭筋に対してストレッチ等
◯当院でまずやるべき所
1、脛骨粗面の治療
2、膝蓋の腱
3、膝蓋骨の施術
4、大腿四頭筋の筋膜チェーン
5、腸骨に対しての治療
この様に治療を進めて行きますが、一番のポイントは…
痛みが出てから治療するまでの時期です!
問題が起きたらすぐに施術を開始することで、骨端の骨膜が元の状態に戻ります。
骨膜とは?→骨の表面にある膜です。
骨膜は感覚が非常に鋭い為、炎症が起こると痛みを強く感じやすい箇所。
この骨膜が筋肉によって牽引されて剥がれる事が成長痛の原因かと考えられています。
痛みがある時期「炎症期?」に治療をすると当然痛みを感じますが、この時期の方が元の状態に戻り易くなります。
つまり骨膜の早期治療=成長痛の早期改善に繋がります。
次回は骨膜についての詳細を報告します。
顎関節症について〜頭蓋治療から考える〜
患者様 10代 男性
症状 顎関節症
治療期間 1ヶ月
治療回数 4回
顎関節症とは??
→顎関節症は、顎関節やあごを動かしている咀嚼筋(そしゃくきん)の痛み、顎関節雑音(音が鳴る)、開口障害あるいは顎運動異常を主要症候とする障害をとりまとめた病名です。
当院では現在(令和3年4月)3例治療中でその中の一例を紹介します。
中学生男子で、左顎関節が急に痛くなり当院に来院される。
原因は分からず、口を開けると顎に痛みとガクッと音が出る状態。
そもそも口はどれくらいの大きさが空いたら良いのか?
患者様自身の指サイズ、約3横指と言われています。
この3横指サイズが入らないと正常の範囲と判断出来ません。
当院でのアプローチ
①顎関節周囲のケア
・顎関節を動かす4つの咀嚼筋
これらの顎を開けたり閉める役割の筋肉が正常に機能しているかを確認します。
・顎関節を支える靭帯と軟骨
顎を支える関節
更に奥には軟骨である「関節円板」があり、クッションみたいな役割がある。
ここに負担が掛かると顎が引っかかった様な感触もある。
・下顎骨(かがくこつ)の底部の筋肉
顎を下から支える筋肉。
噛み癖や姿勢によって過度の緊張が発生してしまい、顎の位置関係に負担を及ぼしてしまいます。
・下顎骨を収める側頭骨との位置関係
側頭骨にある関節面に下顎骨が収まるが、側頭骨は首の位置や圧迫される事で、様々な症状を引き起こします。
→https://seiren-do.com/casestudy/2021/04/17/突発性難聴は頭蓋骨のケアで変わる可能性あり〜/
②姿勢チェック←猫背多し
猫背→下顎骨が顎関節を圧迫→靭帯や軟骨に負荷が掛かり関節炎になる可能性あり。
姿勢の悪さから顎に負担が来るケースもあるから姿勢の矯正も併せて検査、治療をします。
③咀嚼筋のトレーニング
開口障害→口が開きにくいパターンは咀嚼筋の緊張を緩める治療をします。
しかし筋肉の緊張が強いせいで、奥深い靭帯が弱化→弱っている可能性もある為、筋緊張を取り除いてから、関節に負荷を掛けるトレーニングも行います。
セルフケアとしては、口を開けた時に自分の手で押さえて抵抗運動をします。
筋肉の長さが変わらないトレーニング(等尺性収縮)で関節に伸張性の負担を掛けて靭帯にストレスを加えるトレーニング法です。
これらのアプローチで1ヶ月程で改善、一旦終了。
顎関節症は放置してなかなか改善しないケース多い為、どんなパターンか判断して治療する事をお勧めします。
突発性難聴は頭蓋骨のケアで変わる可能性あり〜
患者様 40代 男性
症状 突発性難聴
治療期間 1週間
治療回数 1回
当院の患者様で急に右耳が聞こえにくくなり、行った病院で「突発性難聴」と診断、更に「ストレスから来る」と言われた。
突発性難聴とは??
厚労省の見解→
突然、耳の聞こえが悪くなり、耳鳴りやめまいなどを伴う原因不明の疾患です。40~60歳代の働き盛りに多くみられ、ストレスや過労、睡眠不足、糖尿病などがあると起こりやすいことがわかっています。聴力を回復させるには、早めに治療を開始することが重要です。
この様に記載されています。
突発性難聴=ストレス
このイメージが多い症状ですが、実は耳の症状に対しての治療は幾つかあります。
①頭の横にある側頭骨から推測
赤色が側頭骨
側頭骨には
・リンパ経路→めまいの原因
・耳管(エウスタキー管)→耳鳴りの原因
これらの構造が含まれています。
特に「耳管」に何らかの負担が掛かると耳鳴りの原因になってしまう事がある。
では負担になる原因は何か?
一つは姿勢が原因のパターン。
鎖骨から側頭骨に繋がる胸鎖乳突筋。
解剖図
実際の筋肉は首を回旋+傾けると出現!
この筋肉が過剰に緊張してしまう姿勢の一つ、頬杖や手を顔にをついて寝そべる姿勢はかなり首に負担が掛かります。
例えばこのソファに寝そべる姿勢
①手を当てている箇所はまさに「側頭骨」を圧迫している!!
②首を右に傾けたまま支えている
これらの姿勢から以下の図式が考えられる。
骨を圧迫→側頭骨の周りの筋肉に負荷が掛かり、更に骨同士の縫合を圧迫する事で硬くなる結果、縫合の隙間から出る血管や神経を圧迫する事で循環不良や伝達障害を引き起こす。
筋肉の緊張→筋膜の過緊張が起こる。側頭骨の周囲に付着する筋膜の緊張が伸張性の刺激を加える事で痛みに敏感になる。
骨の圧迫+筋肉の緊張=側頭骨の機能障害
つまりソファに長時間(個人差あり!)寝そべって顔に手をついたままの姿勢が、耳鳴りの原因になるかもしれません。
この患者様には
・側頭骨と鎖骨周囲の筋膜リリース
・頭蓋リズムの調整
・頸静脈孔の開放
以上の治療にて終了。
翌日には徐々に軽減して、当院の治療(一回)と病院での点滴で様子を見た結果、一週間経過してからの来院では全く問題ないとの事で治療終了。
この患者様は、発症してから翌日に来院されて早期治療で対応出来た為、直ぐに回復した可能性が考えられます。
しかし突発性難聴は回復出来る可能性は決して高くない為、早期治療で改善を図る事をお勧めします。