交通事故後の治療〜むち打ちの痛みは、胸郭との繋がりを考える〜

交通事故の様な強い衝撃ではむち打ち(首の捻挫)を訴えるケースが多く見られるます。
しかし治療にあたっては身体の構造上、首と繋がる胸郭(※)は必ず治療しなければなりません。
(※胸郭は鎖骨、胸骨、肋骨からなる肺や心臓を守る籠?のような構造)
なぜ胸郭の治療が必要なのか?
首とどんな関係があるのか??
◆骨や筋肉との関わり
首と胸郭は多数の筋肉が繋がる箇所。更に首を支える土台になる為、骨や関節の適度な柔軟性が無ければ首の筋肉に余計な負担をかけてしまいます。
特に問題を起こす「肋骨」には要注意。
多数の筋肉が関わる為、筋緊張により肋骨の位置関係が変わる可能性があります。
12ある肋骨の中で問題起こしやすい箇所は第1肋骨。
以前投稿した症例→https://seiren-do.com/casestudy/2020/09/30/3ヶ月続いた首と肘の痛みが改善/
骨のサイズは小さいですが、首の負担を庇ってくれる非常に大切な箇所です。
◆神経の絞扼(こうやく)
また、第一肋骨と鎖骨は胸郭出口症候群という症状も引き起こします。
https://jiko110.jp/faq/tenement/kouisyou131206.html
◆交感神経に関わるトラブル
更に第一肋骨の近くに星状神経節(せいじょうしんけいせつ)という交感神経の太い線維があり、第一肋骨周囲の炎症や問題があると腕の自律神経障害が起こり得ます。
自律神経障害とは、感覚異常や不快感、痛みといった症状です。
◆リンパ液など循環不良
また第一肋骨周囲には老廃物を流すリンパ組織が多くあり、この周囲の組織の問題が循環不良に繋がります。
第一肋骨と鎖骨を結ぶ鎖骨下筋、この箇所が正常な状態でないとリンパ液の流れを妨害してしまいます。
その結果、ダルさやスッキリしない感覚が出る可能性があります。
鎖骨下筋は鎖骨と第一肋骨を結ぶ筋肉。呼吸に関わる横隔膜の神経(横隔神経)に支配されている為、常時負担が掛かりやすい箇所です。(呼吸は常に行われている為)
以上に上げた点だけで多数の関係性が判明します。
・筋肉の牽引による肋骨の負担
・痺れやダルさに関係する腕神経の絞扼(こうやく)
・身体を緊張させる交感神経の線維、星状神経節
・リンパ液の循環
胸郭には首との大切な関わりがある為、むち打ち症状には必ずこの箇所の治療が必要です!
成長痛を悩んでいる方へ
5月は成長痛についてブログを書きました。
成長痛で困っている学生・ご両親は参考にしてみて下さい。
交通事故によるケガ〜肩の痛みが変わらないケース〜

今月は交通事故の治療について報告します。
まず交通事故を受けた際に、体に対して衝撃がどれくらい掛かるのか?
一説では時速40キロで走行する車が壁に衝突する際の衝撃力は、6メートルの高さから落とした車が地面に衝突するときに受ける衝撃力にほぼ等しくなるとされています。
建物の1階床の高さと2階の床の高さの差は、約3メートルと言われています。階が1つ上がると、床の高さは3メートル増えるのです。ゆえに、地上からの高さが6メートルであれば、ビルの高さ2階分に相当します。
以上より、時速40kmで走行する車が壁に衝突したときの衝撃は、2階建てのビルから車を落下させ地面に衝突させたときの衝撃とほぼ等しくなるのです。
(牧野隆編著「図解交通資料集第4版」参照)
此方は自転車の動画
→https://m.youtube.com/watch?v=i1KLAry9crg
もし車に乗っている際に、対向車に40kmで衝突された場合には2階ビルから落ちた時の衝撃と同じになるとのこと?
そんな強い衝撃の交通事故を受けた患者様は、様々な症状を訴えます。
「呼吸が苦しい」
「首がずっと痛い、気持ちが悪い」
「頭がボーッとする」
「天気が悪いと気分が悪い」 …etc
実際に今当院に掛かられている患者様の症例報告です。
「交通事故してから、ずっと肩の痛みが変わらないから見てほしい」
以前来院していた方から久々に連絡を頂き、来院。
患者様 30代男性
◆事故の状況 左側から助手席に追突、ドアの一部を損傷
◆症状
・右肩が後ろに動きにくい
・右肩甲骨周りの骨が痛い
この2点を主訴として、治療スタート。
◆徒手検査
肩周りの筋力テストを行い、肩関節の水平伸展(後ろに引く動作)が出来ず。
肩甲骨周囲の筋肉が緊張、違和感を感じる。
治療方法
肩関節の制限されている動きは水平伸展のみ、この動きを担当する筋肉は三角筋の後部。
三角筋の支配神経は腋窩神経、この腋窩神経の走行路は肩の後方にある外側四辺隙という箇所。
この箇所が何らかの負荷が掛かると、腕を動かす「三角筋」に正常な信号が伝わらず、
・「腕は動くけど、〇〇が気になる」
・「肩甲骨周りが気になる」
と言った症状が出ます。
では、この箇所に負担がかかった理由は??
?️♀️推測?️♀️
①事故を受けた時は左から
②ぶつけられた際、本人曰く「ハンドルを強く握ってしまった。」との報告あり
③ハンドルで腕を固定される為、腕全体を固めてしまう。
④左からの衝撃で、右腕を支えた肩を一瞬強制的に伸ばしてしまう。
⑤この際、肩を支える肩甲骨周りの筋肉を痛めた可能性あり。
その流れだと辻褄が合う。
この外側腋窩隙周りを治療した結果、すぐに腕が後ろに行くようになった?
その後、数回治療やってまだ途中ではあるがかなり改善が見られた!と喜んでいます。
たまたま早期回復が見られた今回の治療、しかし期間が掛かる治療が多い交通事故での治療。
次回の報告は、胸郭と首の繋がりについて報告します。
成長痛は骨端軟骨もチェック!治療、固定、ストレッチでアプローチ。

今回の報告は骨端軟骨についての報告です。
骨端軟骨とは??
骨の先端にある軟骨で、この箇所が骨の成長に大きく関わります。
この骨端軟骨は子供の頃、つまり成長期の身長が伸びる時しか存在しません。
成人になると上記の図にある骨幹部、骨幹端部、骨端部は癒合して一つの組織になります。
この箇所にストレスが掛かり骨端軟骨を引っ張る事が、痛みの原因です。
※先日お伝えしたオスグッド病も、大腿四頭筋が脛骨の骨端軟骨を引っ張る事が痛みの原因となる。
https://seiren-do.com/casestudy/2021/05/09/成長痛と骨膜の関係〜オスグッド病は膝の使い方/
スポーツやトレーニングで筋肉に疲労・負担が溜まり筋肉の緊張が強くなると、骨に対しての伸張性のストレスが加わり、骨端軟骨に負荷が掛かり炎症が起こってしまうから成長痛に繋がる、との考え方が一般的です。
筋肉が硬い→柔らかい筋肉ならストレスが掛かりにくい→骨端軟骨に負担が掛からないから成長痛にならない。
この考え方だと、トレーニング後のストレッチをやる事は非常に大切です。
更に身体の使い方、練習後のクールダウンは絶対に必要です。
練習前より、練習後の方が身体にとって必要な刺激となり、クールダウンが疲労物質を取り除いて、回復を速くするきっかけになります。
では骨端軟骨の原因で痛みが出たケースはどうしたら良いか?
①骨端軟骨の治療
・当院で出来る治療、骨に対しての治療法です。
骨端軟骨は骨膜の一部に含まれる為、筋肉によって牽引された骨膜を元の位置に戻す刺激を加えることで、痛みの軽減につながります。
痛みの箇所を抑える事で痛みが軽減するケースは、骨膜の位置が離れている可能性があり、脛骨粗面辺りを優しくリリースする事で痛みの緩和が期待出来ます。
成長痛の治療→https://seiren-do.com/casestudy/2021/05/02/「成長痛」は早期の治療で改善します、大事なポ/
②サポーター
骨の出っ張り、骨端軟骨をサポーターで押さえつけると痛みは軽減します。
③ストレッチ
膝の前側を伸ばすストレッチ。
ストレッチのポイントは
・痛みが出るところまで伸ばしてストップ
・呼吸を止めない→止めると筋肉を傷つけてしまう
・伸びた感覚が感じられる(痛みが無くなった)時に辞める
子供の成長痛について非常に分かりやすい資料がありました。是非参考にしてみて下さい☝️
千葉県の医師の先生が投稿してくれた資料
https://www.chiba.med.or.jp/general/millennium/pdf/millennium46_10-12.pdf
子供の腰痛も成長痛??股関節の柔軟性をチェック!

「子どもの腰痛ってありますか?」
時々親御さんから相談をうけます。
子供と大人は身体の作りが違いますが、決して珍しくありません。
以前ブログにUPした→https://seiren-do.com/casestudy/2020/10/11/3ヶ月以上続いた腰痛は、脚(あし)の緊張が原因/
今回は、子供で股関節の負担から腰痛になる仕組みを報告します。
◆腰痛を訴える箇所
・
①腰仙部→腰椎と仙骨の間
②仙腸関節→骨盤の関節
③腰部全体→腰の覆っている筋膜
この辺りが多く痛みを訴える箇所です。
◆原因
①お尻の硬さからの腰痛→なぜお尻が硬いと腰痛になる?
お尻は骨盤から大腿骨に繋がる9つの筋肉あり。
お尻の筋肉は人間の身体で一番「丈夫」で「分厚い」筋肉の為、一番力も入ります。
例えば筋トレでベンチプレスを上げる際、100kgを上げようとすると大変です。
しかし脚を使ったトレーニング、レッグプレスは100kgでもほとんどの方が可能です。
なぜならお尻の筋力は、一番強力な箇所。
つまり筋力レベルは、お尻の筋力>腰の筋力
多くのスポーツにおいては、脚は1番使う箇所
脚を使う=股関節を使う為、自然と疲労が溜まり緊張する。
スポーツをする→疲労が溜まる→筋肉が徐々に硬くなる→お尻の筋力の方が強力な為、腰をお尻に引っ張る→腰痛になるケース多し!
この図式が当てはまり、多くの腰痛パターンで見られます。
※お尻が緊張すると牽引作用が働き(黄色→)腰を引っ張る形になる(赤枠)。
②普段の使い方 姿勢
特に多い、座っている姿勢が悪いケース。
※背骨が丸くなり(赤ライン)骨盤が後傾している(黄色→)
・お尻は常時伸ばされて伸張性の刺激が入るから痛みが出やすい
・背骨が丸くなり筋肉が伸ばされて、弱くなる
・骨盤が後傾している為、骨を土台に支える形が出来ておらずお尻の筋肉で支えているから疲れやすい。
◆対策
まずはストレッチ
→https://m.youtube.com/watch?v=J40CVl5bpF8&feature=youtu.be
座位の姿勢
この2つからまずはやってみましょう。