症例報告casestudy
交通事故によるケガ〜肩の痛みが変わらないケース〜
2021年06月05日
今月は交通事故の治療について報告します。
まず交通事故を受けた際に、体に対して衝撃がどれくらい掛かるのか?
一説では時速40キロで走行する車が壁に衝突する際の衝撃力は、6メートルの高さから落とした車が地面に衝突するときに受ける衝撃力にほぼ等しくなるとされています。
建物の1階床の高さと2階の床の高さの差は、約3メートルと言われています。階が1つ上がると、床の高さは3メートル増えるのです。ゆえに、地上からの高さが6メートルであれば、ビルの高さ2階分に相当します。
以上より、時速40kmで走行する車が壁に衝突したときの衝撃は、2階建てのビルから車を落下させ地面に衝突させたときの衝撃とほぼ等しくなるのです。
(牧野隆編著「図解交通資料集第4版」参照)
此方は自転車の動画
→https://m.youtube.com/watch?v=i1KLAry9crg
もし車に乗っている際に、対向車に40kmで衝突された場合には2階ビルから落ちた時の衝撃と同じになるとのこと?
そんな強い衝撃の交通事故を受けた患者様は、様々な症状を訴えます。
「呼吸が苦しい」
「首がずっと痛い、気持ちが悪い」
「頭がボーッとする」
「天気が悪いと気分が悪い」 …etc
実際に今当院に掛かられている患者様の症例報告です。
「交通事故してから、ずっと肩の痛みが変わらないから見てほしい」
以前来院していた方から久々に連絡を頂き、来院。
患者様 30代男性
◆事故の状況 左側から助手席に追突、ドアの一部を損傷
◆症状
・右肩が後ろに動きにくい
・右肩甲骨周りの骨が痛い
この2点を主訴として、治療スタート。
◆徒手検査
肩周りの筋力テストを行い、肩関節の水平伸展(後ろに引く動作)が出来ず。
肩甲骨周囲の筋肉が緊張、違和感を感じる。
治療方法
肩関節の制限されている動きは水平伸展のみ、この動きを担当する筋肉は三角筋の後部。
三角筋の支配神経は腋窩神経、この腋窩神経の走行路は肩の後方にある外側四辺隙という箇所。
この箇所が何らかの負荷が掛かると、腕を動かす「三角筋」に正常な信号が伝わらず、
・「腕は動くけど、〇〇が気になる」
・「肩甲骨周りが気になる」
と言った症状が出ます。
では、この箇所に負担がかかった理由は??
?️♀️推測?️♀️
①事故を受けた時は左から
②ぶつけられた際、本人曰く「ハンドルを強く握ってしまった。」との報告あり
③ハンドルで腕を固定される為、腕全体を固めてしまう。
④左からの衝撃で、右腕を支えた肩を一瞬強制的に伸ばしてしまう。
⑤この際、肩を支える肩甲骨周りの筋肉を痛めた可能性あり。
その流れだと辻褄が合う。
この外側腋窩隙周りを治療した結果、すぐに腕が後ろに行くようになった?
その後、数回治療やってまだ途中ではあるがかなり改善が見られた!と喜んでいます。
たまたま早期回復が見られた今回の治療、しかし期間が掛かる治療が多い交通事故での治療。
次回の報告は、胸郭と首の繋がりについて報告します。