症例報告casestudy
交通事故後の治療〜むち打ちの痛みは、胸郭との繋がりを考える〜
2021年06月13日
交通事故の様な強い衝撃ではむち打ち(首の捻挫)を訴えるケースが多く見られるます。
しかし治療にあたっては身体の構造上、首と繋がる胸郭(※)は必ず治療しなければなりません。
(※胸郭は鎖骨、胸骨、肋骨からなる肺や心臓を守る籠?のような構造)
なぜ胸郭の治療が必要なのか?
首とどんな関係があるのか??
◆骨や筋肉との関わり
首と胸郭は多数の筋肉が繋がる箇所。更に首を支える土台になる為、骨や関節の適度な柔軟性が無ければ首の筋肉に余計な負担をかけてしまいます。
特に問題を起こす「肋骨」には要注意。
多数の筋肉が関わる為、筋緊張により肋骨の位置関係が変わる可能性があります。
12ある肋骨の中で問題起こしやすい箇所は第1肋骨。
以前投稿した症例→https://seiren-do.com/casestudy/2020/09/30/3ヶ月続いた首と肘の痛みが改善/
骨のサイズは小さいですが、首の負担を庇ってくれる非常に大切な箇所です。
◆神経の絞扼(こうやく)
また、第一肋骨と鎖骨は胸郭出口症候群という症状も引き起こします。
https://jiko110.jp/faq/tenement/kouisyou131206.html
◆交感神経に関わるトラブル
更に第一肋骨の近くに星状神経節(せいじょうしんけいせつ)という交感神経の太い線維があり、第一肋骨周囲の炎症や問題があると腕の自律神経障害が起こり得ます。
自律神経障害とは、感覚異常や不快感、痛みといった症状です。
◆リンパ液など循環不良
また第一肋骨周囲には老廃物を流すリンパ組織が多くあり、この周囲の組織の問題が循環不良に繋がります。
第一肋骨と鎖骨を結ぶ鎖骨下筋、この箇所が正常な状態でないとリンパ液の流れを妨害してしまいます。
その結果、ダルさやスッキリしない感覚が出る可能性があります。
鎖骨下筋は鎖骨と第一肋骨を結ぶ筋肉。呼吸に関わる横隔膜の神経(横隔神経)に支配されている為、常時負担が掛かりやすい箇所です。(呼吸は常に行われている為)
以上に上げた点だけで多数の関係性が判明します。
・筋肉の牽引による肋骨の負担
・痺れやダルさに関係する腕神経の絞扼(こうやく)
・身体を緊張させる交感神経の線維、星状神経節
・リンパ液の循環
胸郭には首との大切な関わりがある為、むち打ち症状には必ずこの箇所の治療が必要です!