急性のケガinjury
スポーツのケガ④筋肉系のトラブル 回避法を探してみる。
2021年09月26日
スポーツ障害で非常に多い症例は「筋肉系のトラブル」かもしれません。
スポーツによってケガをするパターンを幾つか上げます。
●オーバーユース(overuse)
使い過ぎ、という意味。
同じ動作を頻回に続ける事でケガに繋がってしまう。
●ミスユース(misuse)
間違えた使い方、という意味。
負荷の掛かり過ぎるフォーム、無理な使い方で練習を続けることでケガに繋がってしまう。
●ディスユース(disuse)
急に身体を動かす時に起こるケガ。
寒い時や、あまり身体を動かさずにスポーツをしてケガをしてしまう。
これらは指導者や周りの環境がかなり影響してしまいます。
以前担当した患者様の一例です。
毎年全国大会に必ず出る様なバスケット部の女性選手。⛹️♀️
寮住まいの為、帰省した際に診せてもらった時に驚きました。
脚の両脛(りょうすね)が軽く触れるだけで激痛が出る状態、慢性的な骨膜炎=シンスプリントを患っています。
骨膜炎、めちゃくちゃ痛いです。
骨折した人なら分かりますが、痛みのレベルが非常に高い。
僕は昔、サッカーの試合で転倒→突き指した時に普段の痛みと明らかに違う痛みだった。
痛過ぎてうずくまっていた(ケガをしたのは指なのに!)記憶がある。
後日エコーで確認した際には「骨折線」があり症病は当然骨折になります。
そんな痛みのレベルが慢性的に両足に対してある…本当に辛かったと思います。
けれどそこは強豪校、休むとレギュラーを外されてしまうから黙ってプレーを続けている為に症状は悪化の一途を辿ってしまう。
この女子選手に置き換えると
オーバーユース
・練習量の多さ、休養の不十分等
・競技から走り込み、ジャンプ動作の多さ
ミスユース
・足が痛いにも関わらず、休養出来ずに練習
・痛みを庇った為、筋肉の過度の負荷
ディスユース
・疲れが抜けない状態でのプレーをする事
足が痛いけど練習多い⇄休めない
このサイクルを延々と繰り返していました。
競技レベルであれば上手くなることは当然ですが、方法を間違えると様々な問題が起こります。
➀ケガを常時する・している為競技を辞めてしまう。
②競技自体が嫌いになってしまう。
③競技人口が減ってしまい、衰退する恐れがある。
一番の理想は筋肉系のトラブルが起きる前に解決できる方法、そんな可能性が幾つかあります。
◆機械を使った対策
カタパルト社のGPSを駆使したアイテム。
注)スポーツブラではありません。
これはGPSデータを使って一人一人のスピードや走行距離やスピードなどをデータ化。怪我の予防などのコンディショニングや練習強度のコントロールなどに役立てるアイテム。
以下の役割がある。
・距離や時間、速度に関する指標
・心拍数や身体への負荷に関する指標
・加速、減速、ジャンプなど3軸方向の加減速に関する指標
・ランニング時の身体の軸の傾きに関する指標
・ゲームに戻るまでの時間に関する指標
・ゴールキーパーが起き上がるまでの時間やダイブ強度に関する指標
実際に使用しているトップチームも数多くあります。
2019年、日本で行われたラグビーW杯の日本代表チーム
サッカー レスター時代の岡崎選手
サッカー ドルトムント時代の香川選手
このGPSシステムを使う事で、選手個人の習性が分かり練習量の調整が出来る為、未然にケガを予測する可能性を増やします。
◆筋肉系のケア
いわゆる体の「張り」です。
特にこの「張り」は原因を探すことは至難の業、この腕の見せ所がトレーナーや治療担当の役割です。
よく例えに出す例として腰の張りについて、様々なパターンを予測する必要があります。
・動きの解析→どの動きで張りが出るのか?
・動作時か?静止時か?
・オーバーユース?ミスユース?ディスユース?
・靴の問題は?足の問題はないのか?
・筋力の低下は?前後、左右差はあるのか?
これらのことを踏まえて、トレーニングや治療をする事が大切です。
◆栄養からのケア
筋肉系のトラブルで、意外な盲点となる「栄養面」
筋肉の回復させる食物がある一方、逆に身体を硬くしてしまう食べ物もあります。
・加工した糖質
・赤身の肉
・乳製品
これらのものを未然に摂取しない手段もあります。
サッカーの世界でスーパースターのクリスチアーノ・ロナウド。
ロナウドが好む食材は、魚、赤身のタンパク質料理、全粒穀物、サラダとのこと。 タンパク質は筋肉の構築と修復の両方を助け、年齢による劣化を遅らせるという。 またカロリーの燃焼にも役立つと言い、「私はココナッツオイルを使い、沢山の水やオイルを消費します」(ロナウドの調理担当者による)
殆どケガをしないロナウドはこんな所にも意識をしています。
当院の管理栄養士が作った資料です。参考にしてみて下さい。
もしかしたら他にも手法はあるかもしれませんが、筋肉系のトラブルは様々な問題を解決しないといけません。
僕は治療の専門家だから、痛みを軽減する役目の為アドバイスとしては「身体を休ませる」事を伝えています。
ただ休ませるとは、ケガの箇所を休ませるという意味。
他の使える、動かせる箇所は積極的に使わなければならない。
休ませる≠完全にOFF
この事を念頭に、スポーツ障害の筋肉系トラブルを様々な方向から解決出来る事を望んでいます。