頭の形・治療について②子供の頭は何歳まで形が変わるのか?骨の成長から推測

先日お伝えした頭の治療について、今回はもう少し細かくお伝えします。
◆乳幼児の頭はどんな状態?
成人の骨とは違い、まだ骨同士が固まっておらず空間があります。
ここは6箇所あり「◯◯泉門」と呼びます。
これらの箇所は大体の固まる目安の時期があります。(個人差はあります。)
①前側頭泉門→1ヶ月〜12ヶ月
②大泉門→1年半〜2年
③後側頭泉門→1ヶ月〜12ヶ月
④小泉門→約1年
以上の事から、生後1ヶ月から遅くとも2歳までに泉門自体は閉じてしまいます。
◆2歳以降は頭の形は変わらないか?
上記に挙げた泉門は2歳頃までに閉じてしまいますが、他の箇所はまだ成長過程で変わる可能性があります。
縫合(ほうごう)と骨です。
骨同士の噛み合わせたような縫合や骨自体はまだ癒合せずに成長する為、これらの箇所に刺激を加える事で骨の出っ張りや丸みが変わる可能性はあります。
・縫合とは
骨模型で色が変わるギザギザの箇所。
ここは3歳前後から徐々に固まる。
・骨自体は元々分裂している
例えば頭の後頭部にある後頭骨、成人では一つですが乳児では四つに分かれています。
・成人の骨
紫の箇所が後頭部の後頭骨
上から見た図
・乳児の出生時の後頭骨
後頭骨を上から見た図、赤矢印がまだ癒合していない4つの後頭骨
→後頭骨は4つに分かれて、年齢と共に癒合する。
頭蓋骨は各骨の癒合が始まる年代が6歳前後と言われています。
・◯◯泉門が癒合するのは2歳前後
・縫合が固まり始める時期は3歳前後
・骨自体が固まってくる年代は6歳前後
これらの事から遅くとも6歳前後迄に治療をする事で、頭の歪みを改善出来る可能性が考えられています。
次回は治療の考え方、実際に当院で行っている治療をお伝えします。
頭の形・治療について① 簡単なガイドライン

「頭の形は変わりますか??」
ここ最近、問い合わせが非常に増えている頭の形の治療。
当院にもSNSを通じて県内、県外からも毎週の様に問い合わせが来ます。
そこで今回は簡単に頭蓋治療について大まかなを報告します。
◆どんな治療法か?
頭蓋治療とは、頭の骨に対して刺激を加えて様々な効果が期待出来る治療法。
・骨の隆起(りゅうき)→突出している箇所
・縫合(ほうごう)→噛み合わせの箇所
・頚椎と後頭骨の関節付近
これらの箇所に、適度な力を加えます。
乳児の頭の形を矯正する力は、本当に僅かな力です。軽く頭を撫でる程度の為、実際親御様が受けて頂くと口を揃えてびっくりされます。(思った以上に力が弱いため)
◆どんな症状に対応出来るのか?
乳幼児に対しては
・頭の形を矯正 斜頭 絶壁 出っ張り
・泣き癖 癇癪
・吐き戻し 母乳やミルクを吸えない
・向き癖(いつも同じ向きを向く)
・斜頸
以上の症状の改善が期待されます。
◆いつからが理想か?
産まれてから成長の過程で、徐々に頭の骨が固まります。
頭部の骨は6歳までは速く成長をして、7歳以降は緩やかな成長をします。
頭の骨が固まるまでは、骨の位置が変わる為出来るだけ早い時期が望ましいです。
最近では、月齢2ヶ月のお子様も来院されています。
◆どれくらいの変化が見られるのか?
頭の形に関しては、「まん丸」が理想です。
しかし頭の形によっては、
・「ほぼ丸」
・凹みが膨らんだ
・凸が凹んだ などのケースもあります。
治療前 左前頭部に凹んだ形
治療終了後 凹んだ跡はほとんど見られず
◆期間はどれくらい掛かるのか?
まずは個人差があります。
例えば軽度の歪みであれば2.3回で終わるケースもあります。
しかし、状態によっては半年以上掛かるケースがあります。
これは歪みの程度が大きかったり、年齢が小学生になってから等頭の状態にもよります。
◆注意点
以下の状態は病院での治療をお勧めします。
・ヘルメット治療
頭部の歪みが明らかに強く、病院で勧められた際に使用するヘルメット治療。
ほぼ常時使用する為、形が戻りやすいが値段は自費治療になる為高額である(50万前後)。
・頭蓋骨縫合早期癒合症(狭頭症)
頭蓋骨縫合のどれか、またはいくつかが通常よりも早い時期に癒合してしまう病気です。
頭蓋骨縫合が早期に癒合してしまうと、頭蓋骨の正常な発育が阻害されるため脳を覆う頭蓋容積が狭くなり脳が圧迫される障害や頭蓋骨の変形が生じます。
頭蓋の変形は早期癒合が起こった縫合線(骨のつなぎ目)と密接な関係があり、例えば縦の縫合線が早めに塞がると頭の骨が横に成長できないため縦長の頭になり舟状頭(しゅうじょうとう)と言われる変形を生じます。
上記の矢印は縫合線が無く、成長の妨げになる。
縫合線の塞がり方で、頭が縦に短くなったり(短頭症:たんとうしょう)、斜めや三角になったり(斜頭症:しゃとうしょう、三角頭:さんかくとう)、上にとがったり(尖状頭:せんじょうとう)します。
(※一般社団法人日本形成外科学会の資料より抜粋)
◆まとめ
①治療法は頭の骨を中心に、触れる程度の力で矯正する
②頭の治療をする事で、向き癖や頭の形が変わる
③治療時期は早い時期が良い
④「まん丸」が理想 ほぼ左右対象が現実的
⑤治療期間は半年程様子を見ながら治療を継続する事が理想的
⑥病院でヘルメット治療を勧められる位変形が顕著な場合や、頭蓋骨縫合早期癒合症と診断された場合は必ず病院での治療をする。
当院での治療は、あくまでも病院で「経過観察をしましょう」と言われた時に、成長の過程を手助けする方法です。
以上の事から、乳幼児の頭部の形は変わります。
次回のブログでは、もう少し細かい情報をシェアします。
スポーツ外傷について

9月はスポーツ外傷についてブログをUPしました。是非参考にしてみてください。
スポーツのケガ④筋肉系のトラブル 回避法を探してみる。

スポーツ障害で非常に多い症例は「筋肉系のトラブル」かもしれません。
スポーツによってケガをするパターンを幾つか上げます。
●オーバーユース(overuse)
使い過ぎ、という意味。
同じ動作を頻回に続ける事でケガに繋がってしまう。
●ミスユース(misuse)
間違えた使い方、という意味。
負荷の掛かり過ぎるフォーム、無理な使い方で練習を続けることでケガに繋がってしまう。
●ディスユース(disuse)
急に身体を動かす時に起こるケガ。
寒い時や、あまり身体を動かさずにスポーツをしてケガをしてしまう。
これらは指導者や周りの環境がかなり影響してしまいます。
以前担当した患者様の一例です。
毎年全国大会に必ず出る様なバスケット部の女性選手。⛹️♀️
寮住まいの為、帰省した際に診せてもらった時に驚きました。
脚の両脛(りょうすね)が軽く触れるだけで激痛が出る状態、慢性的な骨膜炎=シンスプリントを患っています。
骨膜炎、めちゃくちゃ痛いです。
骨折した人なら分かりますが、痛みのレベルが非常に高い。
僕は昔、サッカーの試合で転倒→突き指した時に普段の痛みと明らかに違う痛みだった。
痛過ぎてうずくまっていた(ケガをしたのは指なのに!)記憶がある。
後日エコーで確認した際には「骨折線」があり症病は当然骨折になります。
そんな痛みのレベルが慢性的に両足に対してある…本当に辛かったと思います。
けれどそこは強豪校、休むとレギュラーを外されてしまうから黙ってプレーを続けている為に症状は悪化の一途を辿ってしまう。
この女子選手に置き換えると
オーバーユース
・練習量の多さ、休養の不十分等
・競技から走り込み、ジャンプ動作の多さ
ミスユース
・足が痛いにも関わらず、休養出来ずに練習
・痛みを庇った為、筋肉の過度の負荷
ディスユース
・疲れが抜けない状態でのプレーをする事
足が痛いけど練習多い⇄休めない
このサイクルを延々と繰り返していました。
競技レベルであれば上手くなることは当然ですが、方法を間違えると様々な問題が起こります。
➀ケガを常時する・している為競技を辞めてしまう。
②競技自体が嫌いになってしまう。
③競技人口が減ってしまい、衰退する恐れがある。
一番の理想は筋肉系のトラブルが起きる前に解決できる方法、そんな可能性が幾つかあります。
◆機械を使った対策
カタパルト社のGPSを駆使したアイテム。
注)スポーツブラではありません。
これはGPSデータを使って一人一人のスピードや走行距離やスピードなどをデータ化。怪我の予防などのコンディショニングや練習強度のコントロールなどに役立てるアイテム。
以下の役割がある。
・距離や時間、速度に関する指標
・心拍数や身体への負荷に関する指標
・加速、減速、ジャンプなど3軸方向の加減速に関する指標
・ランニング時の身体の軸の傾きに関する指標
・ゲームに戻るまでの時間に関する指標
・ゴールキーパーが起き上がるまでの時間やダイブ強度に関する指標
実際に使用しているトップチームも数多くあります。
2019年、日本で行われたラグビーW杯の日本代表チーム
サッカー レスター時代の岡崎選手
サッカー ドルトムント時代の香川選手
このGPSシステムを使う事で、選手個人の習性が分かり練習量の調整が出来る為、未然にケガを予測する可能性を増やします。
◆筋肉系のケア
いわゆる体の「張り」です。
特にこの「張り」は原因を探すことは至難の業、この腕の見せ所がトレーナーや治療担当の役割です。
よく例えに出す例として腰の張りについて、様々なパターンを予測する必要があります。
・動きの解析→どの動きで張りが出るのか?
・動作時か?静止時か?
・オーバーユース?ミスユース?ディスユース?
・靴の問題は?足の問題はないのか?
・筋力の低下は?前後、左右差はあるのか?
これらのことを踏まえて、トレーニングや治療をする事が大切です。
◆栄養からのケア
筋肉系のトラブルで、意外な盲点となる「栄養面」
筋肉の回復させる食物がある一方、逆に身体を硬くしてしまう食べ物もあります。
・加工した糖質
・赤身の肉
・乳製品
これらのものを未然に摂取しない手段もあります。
サッカーの世界でスーパースターのクリスチアーノ・ロナウド。
ロナウドが好む食材は、魚、赤身のタンパク質料理、全粒穀物、サラダとのこと。 タンパク質は筋肉の構築と修復の両方を助け、年齢による劣化を遅らせるという。 またカロリーの燃焼にも役立つと言い、「私はココナッツオイルを使い、沢山の水やオイルを消費します」(ロナウドの調理担当者による)
殆どケガをしないロナウドはこんな所にも意識をしています。
当院の管理栄養士が作った資料です。参考にしてみて下さい。
もしかしたら他にも手法はあるかもしれませんが、筋肉系のトラブルは様々な問題を解決しないといけません。
僕は治療の専門家だから、痛みを軽減する役目の為アドバイスとしては「身体を休ませる」事を伝えています。
ただ休ませるとは、ケガの箇所を休ませるという意味。
他の使える、動かせる箇所は積極的に使わなければならない。
休ませる≠完全にOFF
この事を念頭に、スポーツ障害の筋肉系トラブルを様々な方向から解決出来る事を望んでいます。
スポーツのケガ③バレーボールで着地が両膝の痛いケースは動作分析で解決

「両膝が痛くて治らないから診て欲しい」
以前同じ症状で来てくれた学生が再度来院、試合も近いとの事で治療開始する。
患者様
・10代男性 (学生)
症状
・バレーボールのプレー中、ジャンプの着地で両膝の痛み
治療期間
・9月14日〜
治療回数
・2回(9月18日現在)
本人の主訴は「ジャンプの着地に痛くなる」。
成長期のジャンプの際に膝が痛い=ジャンパー膝?を疑いがちだけど、普通に屈伸運動は可能。
膝の以外の問題、他の可能性もある為、ジャンプをした際の着地動作を確認。
着地の際、幾つか使い方が悪い動作を発見。
①背骨が丸くなり骨盤の後傾が見られる
→背中が丸くなることで、骨盤は後傾位になる。骨盤の後傾は別名「腰が引ける」体位、重心が後方になる。
重心が後方になる事で脚の前方にある筋肉が張ってしまい、膝の前方に負担が掛かるようになる。
結果的に膝周囲痛に繋がってしまう。
②踵が浮く為、足をついた際に不安定な状態となる
→着地の際にかかとが浮いてしまう事は、ふくらはぎに衝撃が集中してしまう。
ふくらはぎと膝の前の大腿四頭筋は協力筋として作用は働く為、この動作も膝前方に負荷がかかってしまう。
③つま先と膝の距離が離れる為、膝に負担が掛かる
→膝とつま先の距離が離れることで、重心の関係が関わります。
重心(体幹もしくは中心、この場合はつま先)から距離が離れる程負荷が増える結果、膝に負担が掛かります。
ジャンプからの着地動作で様々な負担の要素が判明、①~③を改善しないと膝の痛みは変わりません。
以上の動作を改善する為に大切なポイントは「腰を落とす=骨盤の前傾ポジション」。
着地の際に腰を落とすイメージをすると自然と骨盤は前傾ポジションになります。
この前傾ポジションの1番メリットは力が出やすくなる事。
着地の様な衝撃に対して対抗します。
ちなみに、このポジション11番分かりやすいのは相撲。
力を出す為=衝撃に対抗するには、いかにして良い姿勢を作るのかが非常に大切なコツ。
アドバイスをしてからの着地はこちら
①背骨の丸みを作らない様、骨盤を前傾にする
②踵を浮かさない事が着地時の安定感となる
③つま先と膝の距離が近づく為、膝の負担が減る。
この着地法に変更→着地時の痛みはほとんど気にならないとの事。
二回目の来院の際は「バレーボール中の痛みが減った。」とコメント。?
つまり両膝の痛みは「膝自体の症状」でなく、使い方を直せば痛みが出にくい事が分かった症状。
膝の痛みが出てしばらくしてから来院した為、膝の周囲はばだ完全に回復は出来ていないが改善傾向が見られました。
身体の使い方は、訓練すれば難しくはないです。
トレーニング、スポーツ、仕事、作業など身体を動かす際に必要な「動作」。
もっと色々シェア出来る様にしますね?♂️